朝日新聞出版発行のの週刊誌「AERA(アエラ)」の12月6日号に「あなたのお墓が危ない」と題する特集記事が掲載されております。
記事の一部を紹介します↓
おびただしい数の墓石が投げ出されている。墓誌や墓の土台の石材も散乱している。茨城県神栖市にあるシラス加工場の跡地で今年7月、不法投棄された大量の「墓」が見つかった。
ほどなくして、近くの建材業者が廃棄物処理法違反などの疑いで茨城県警に逮捕された。墓石はもともと、千葉県内の寺院など複数の墓地にあった縁故者のいない「無縁墓」。それを撤去する際、この業者が10万円で「最終処分」を請け負ったものの、処分に困り果て、勝手に投棄したのだという。
その翌月、こんどは山口県美祢市の山中に墓石などを大量に捨てていたとして、地元の石材会社と社員が、やはり同法違反の疑いで書類送検された。警察の調べに対し、会社の経営者は「少なくとも2000年から1千トンは山に投棄した」と供述したという。
近年、墓石の不法投棄が全国で相次いでいる。
一般的には、「役目」を終えた墓石は、僧侶による供養の後、寺院敷地に安置されるか、専門業者により破砕処分され、道路の基礎などに再利用される──はずだが、「元墓石」だけに忌み嫌われる面もあって、相当量が再利用されることなく闇から闇へ葬られているらしい。
「お墓は末代モノですから──」
そんなセールストークにのせられて、お墓が区画ごとに分けられ、立派な「何々家の墓」に生まれ変わったのは高度成長期のことだ。雨風、地震にも耐えられる、長い期間もちそうな構えの墓を分家に至るまで建立した。
とはいえ、その耐久性が増したお墓の祭祀を子孫が代々継いでいけるかというと、話は別だ。少子化するこの国にあっては、そう遠くない将来、大量の無縁墓が生まれるだろうことは簡単に予想がつく。
冒頭から登場している無縁墓とは、子孫が絶えたりして係累のない墓で、当然のことながら墓地管理料は墓地側に入ってこない。墓地の管理は、植栽、清掃などに人件費がかさむのに、無縁墓は費用負担を求めようもない厄介な存在なのだーー。